■オシロイバナ■ オシロイバナ科 オシロイバナ属 原産地:熱帯アメリカ
種子を押しつぶすとおしろい状の白粉が出るのでオシロイバナという。
花は夕方4時頃から咲くので、英名では「four o'clock」 日本でも「夕化粧」と呼ぶこともあるようです。
花は芳香があり、朝方には閉じます。
渡来の歴史は江戸初期と古い。
■話の内容はフィクションです
今日もよく働いた。
子宝に恵まれたお陰で賑やかになったのはいいが、食事時になると皆が一斉に食堂に集まるので窮屈で仕方がない。
そこで急遽ふたつめの食堂を増築することになり、おとといから作業を開始した。
土をコツコツたたいては、こぼれ落ちたかけらを拾い上げ、口にはさんで地上に運ぶ。
これのくり返し。10回、100回、1000回...。
かなり重労働だ。
しかも昨日は、隣部屋のタツが人間のホウキ攻撃にやられて、前足と触覚を折った。
重労働で命がけ。毎日マイニチ働いてばっかり。
タツの事故以来、人間がホウキを使う 朝7:00〜8:00の間は外出禁止になった。
だからその間は、休憩時間。タツには悪いが、のんびりテレビでも見てくつろぐことにした。
明日、砂糖菓子を持って見舞いに行こう。
はてさてそんな平凡で危険な日々の中...
昨夜、地上に出たところでピンクの花が目に入った。
今まで作業に熱中していたせいか全く気づかなかったが、あんなに気持ちの良さそうなベットがあるなんて。
ちらっと見たところ、僕の脚だと頂上まで10分。
途中で休憩したとしても15分というところか。
いつも穴蔵で生活しているんだ、たまには外の空気を吸いながらのんびりくつろぐのも悪くないな。
明日の朝、作業開始前に戻るとして....。早速、出掛けてみるとしよう。
トットットットット フー トットトト
ピンクのベットは想像以上に素敵だった。
甘い香り、ビロードのような肌触り、そして美味しい密。
月にも届きそうなくらい高い頂上には、身体が吸い付くようなしっとりとしたベットと
はるか下から聞こえる コオロギ組 3代目 の演奏。そして気持ちのよい夜風が吹いていた。
明日タツに教えてあげよう。でも2人だけの秘密なんだ。絶対に...。
Zz...z...z...z...z...
「見てみて、オシロイ花だ。クルクル回しながら飛ばして遊んだよね。とってもいい香りがしてさ」
「そうそう、いい香りなんだよね。でもさ、こんなに綺麗な色してたっけ?」
「そうだったんだね、あんまり気にしてなかった。久々に見るといいもんだね」
フワーッ ユッサユッサ
むむ?どのくらい眠ったんだろう...。随分長く眠りこけてしまったようだ。
ムム?ピンクのベットごと移動してる〜。
「改めて見てもホントに綺麗な色だね」「どのくらいもつかな」
連れ去られる途中に飛び下りる勇気もなく、見つかると潰される危険もあるので、花の奥の方に身を隠してじっとしていた。
こんなことなら、眠るんじゃなかった。
人間の家に連れて来られて、奴らはじっとこっちを見てるし、出るにでられない。
玄関の辺りに花の密を垂らしてきたから、夜明けまで待てば仲間が気づいてくれるかも。
いずれにしても、絶体絶命のピンチだよ。
考えた挙げ句、夜明けを待って仲間の出現を確認出来なかったら思い切って出て行こうと決めた。
一度決めたらジタバタしない。とにかく夜明けだ。
キュールキュル バサッ
むむ?まずい。また眠ってしまったよ。
ムム?ひ〜、花がしぼんで出られないよ。
僕は何をやってるんだか。ここで終わりか。
働き尽くめで楽しくも何ともない毎日だったけど、色んなことが思い出された。
悪くない毎日だったな。
「うそっ、もうしぼんでるよ。残念だね」
プチッ ユッサユッサ ピューッ トン
奇跡としかいいようがない。人間はつぼみを庭に放り投げたのだ。
ごそごそと這い出し、色が薄くなり始めたオシロイ花を振り返りながら、全速力で走った。
ここからだと僕の家まで30分はかかるな。アリも蜘蛛みたいに空を飛べたらいいのに...。
■ point ■
素朴なブリキの入れ物にぽんと入れただけ。
くたびれた缶の蓋などでも代用できると思います。
使用した素材:鳥の餌入れ(ブリキ)
こういう形や長方形など、置く向きを変えるだけで違った表情を楽しめるので、
ご自宅にあるものを倒したり、ひっくり返したりして遊んでみてはいかがでしょうか。